果てしなき帰途の果に

yoakeroの雑文コーナー

谷崎潤一郎『痴人の愛』

痴人の愛 (新潮文庫)

痴人の愛 (新潮文庫)

東京の電気会社の技師であり、同僚に「君子」と呼ばれるほど誠実な人格だった主人公譲治は、自分が引き取って育てた少女ナオミの魅力に溺れ、生活は荒廃し、次第に堕落してゆく……。
というような感じのお話。最初こそ退屈だったけど、慣れてくると文章も読みやすくなって面白くなってきた。譲治とナオミの関係の変化や、ナオミの企み、譲治の心境の変化、当時の風俗、など読みどころも多い。あと、主人公が少女を引き取って自分の理想の女性に育てようとする、序盤あたりの設定は、わりと簡単に流用できそう。ライトノベルとかで。というか、その部分の設定だけなら、漫画とかに幾つかあるかも。
二葉亭や田山花袋はイマイチでしたが、谷崎は面白そうです。もう何作か読むかもしれません、何時の日にか。
次回はあれをやるこれをやる、といってもきっと実現しません。でも一応なんか書いときます。次回は、『かまいたちの夜2』の設定資料というか背景の画集みたいなのについて語るやもしれません。