果てしなき帰途の果に

yoakeroの雑文コーナー

『ひぐらしのなく頃に』

http://07th-expansion.net/
流石にはまぞうでは同人ゲームは表示できないので、製作したサークルのHPのアドレスを載せとく。
このゲーム、とにかく面白い。何が面白いって、展開される物語がめちゃくちゃ面白いのだ。しかし、ここでは物語については触れない。ネタバレが怖いし、全然別のことをここでは語りたいので。
何についての話をするかというと、背景に関する演出についての話。プレイした人でこれを聞いて真っ先に思い出されるのは、たぶん場面転換時のタイトルロゴが入る画面だと思う。画面の上下に映画のような黒く太い枠が入り、右下にタイトルロゴが浮かび上がり、画面がフェードアウトする、あのとても印象的な場面転換。最初はこの手法に戸惑ったのだけど、慣れてくるととても良い余韻を残してくれる。これ以外の場面転換では、主人公が就寝した後すぐに場面転換をするのではなく、部屋の背景から自宅外の背景に移り、さらに夕方から夜へと背景が変化していく演出も印象が強い。そして場面転換したあとは、朝日が差し込む部屋の中から始まる。ゲーム中の時間の流れをプレイヤに伝える良い演出だと思う。
また、このゲームはとにかく背景の種類とパターンが多彩であり、舞台である雛見沢村の空気をよく表現している。昼と夜では同じ場所でも全く違う印象を確かに与えているし、その時々に主人公が置かれている状況によって、背景のもたらす効果は大きく異なっている。これは、実在する村の写真を背景に使用したことが、大きく作用していると思う。ゲームの後半では、文章で表さずとも背景を連続で切り替えるだけで、主人公が目的地へ移動している様子がプレイヤにはっきりと実感できる程に、雛見沢村という架空の村を、このゲームは表現している。このことがこのゲームの重要な要素の一つであると僕は思うし、それを支えているのは背景面での効果的な演出の数々だと思う。(勿論、それ以外の他の演出、例えば音に関する部分や物語の構造なども組み合わさってこそ生きる演出なのだが、それも絡めて話すと複雑になるので、ここでは語らないことにする。というか背景について語りたかっただけなので。)
という、まあ、大多数の人にはあまり面白い話ではないんじゃないかな、という感想でした。でも実際、このくらい「背景面の演出に対する熱意」を感じるノベルゲームは、『ひぐらし』と『かまいたちの夜2』くらいしか、僕には思いつかない。方法論や技術レベルでは大きく差異のある二つの作品ではあるけれど、意外にもこれらの作品のような方向性を持ったノベルゲームというのは少ない。あとは、渋谷の街をゲリラロケして作った『街』くらいじゃないだろうか。まあ、僕が知らないだけという可能性大。どなたか、他にも背景の存在がゲームに強く作用しているノベルゲームを知っていたら、教えてくれるとうれしいです。
次回は、今更感を微妙に感じつつ、『ハウル』の感想です。