西尾維新『ネコソギラジカル(上)』
- 作者: 西尾維新,take
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/02/08
- メディア: 新書
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戯言シリーズ最終章の序章が遂に発売されたわけで、表紙のイラストに目を奪われながらも本を捲っていくと、目次の次に登場人物表が今までの集大成とでもいうように、これまでの巻で登場人物表に載った人物達が(一つの名前を除いて)ずらりと並べられている様は、ただ圧巻と感じるしかなく、これは本当に最終章の序章であるのだと再確認。戯言シリーズ最終章の序章がここに開幕することを再認識。
もう、今までののらりくらりと進んでいた物語が嘘のように、展開が早い。ここにきてミステリとしての顔は完全に消えて、ようやくいーちゃんの物語が顔を見せる。その途端、今まで放置されっぱなしだった伏線やら人物やらが、手のひらが裏返ったように急速に姿を表し始める。とにかく、加速している。とにかく、面白い。まったく、期待を裏切ることなく西尾維新は最上級のエンターテイメントを書き上げてきた。これまでのシリーズなら、ある程度順番を気にせずに読めただろうけど、今回からはまったく別物。今までのシリーズを読んできたからこそ、幕を上げた戯言遣いの物語を十全に楽しめる。
次々と現れる刺客、次々と再登場する登場人物、次々と回収される伏線、次々と張られる伏線、次々と明かされる過去、次々と語られる戯言、次々と語られる本音、次々と加速される物語、次々と加速される終わり。西尾維新はこの物語にどう決着をつけるのか。中巻・下巻が楽しみでならない。
―――キーワードは、加速。そして、世界の終わり。何より、物語の終わり。
次回は『9S』。