果てしなき帰途の果に

yoakeroの雑文コーナー

西島大介『世界の終わりの魔法使い』

世界の終わりの魔法使い (九龍COMICS)

世界の終わりの魔法使い (九龍COMICS)

凹村戦争』に続いて発売された、西島大介の単行本二冊目。読みやすい絵柄のくせにいつもややこしい構造のお話を書いている西島が、今回はエンターテイメントとして描いたと言っていた作品。たしか、言っていた気がする。
これを読んだあとに、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を読んだら、びっくりするほど似たような話で、『ライ麦』を読んだ人なら想像つくと思うけど、ようするにそんな話。世の中の常識なんてくだらなくって信じるに値しないんだよ、って話。だと思う。
凹村戦争』は、なんだかんだ分かり難い部分が多いんだけど、こっちはそんなことはほとんどなくて、素直に読んでるだけで面白い。主人公のムギ少年が、ただ一人だけ魔法が使えない少年、という設定だけでも面白いと思える人だっているんじゃないだろうか。他人と違って箒で飛ぶことすら出来ない少年が、一体どんな冒険をして、何を信じたのか?って、帯に書いてあるな、それ。あと、帯の『読めばゼッタイもらえる勇気!』というのは、あながち嘘ではないかもしれない。
それにしても、西島大介の絵って、始めて見たときはもっと冷めたイラストっぽい感じがしてたけど、いつの間にか漫画っぽい感じになってきたなあ、と思う。今のほうが個人的には好きだな。
次回はー、『ライ麦』かー、『ちーちゃん』かー。どっちが先かなー。