小林泰三『玩具修理者』
- 作者: 小林泰三
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1999/04/08
- メディア: 文庫
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映像イメージが浮かびやすい文章なので、玩具修理者が玩具を修理する場面なんかは印象に残りやすいし、特にそこで発生される「ぬわいえいるれいとほぅてぃーぷ!! まだなのか!?」なんかの奇声が異様な感じに拍車をかけてる。「くとひゅーるひゅー」とか、クトゥルフ関連の用語の使い方も上手いなあ、と思う。「酔歩する男」は、話が難しいというか、日常的な思考では理解しきれない。因果関係が崩壊した世界とか、そんなの、何でもありってことじゃないかと息巻くと、そのとおり、ここで語られているのはどんなことでも起こりうるし、あらゆる出来事が起こらなかった世界なのだと、そうはね返されてしまう。もう自分でも何言ってるんだかさっぱり。ただ一つ言えるのは、「こうして考えている自分は存在しているのだろうか?」なんて疑問を生み出してしまう物語というのは、秀逸であるなあ、ということ。