果てしなき帰途の果に

yoakeroの雑文コーナー

成田良悟『バッカーノ! 1933〈上〉〈下〉』

バッカーノシリーズ五作目。相変わらずの群像劇だけど、二作目の『1931』に比べると作中の仕掛けとかがあまり凝っていないのが物足りない。『1931』は面白かった。その代わり、今回は戦闘シーンが多い印象。
登場人物がやたらと多いだけあって、魅力的なキャラが豊富なこのシリーズだけど、特に『葡萄酒』、エルマー、そしてアイザック&ミリアが素晴らしい。努力によって最強を体現させた殺し屋『葡萄酒』、ハッピーエンドのためなら手段を選ばず悪人にもなる笑顔中毒者エルマー・C・アルバトロス、奇想天外な掛け合いで異様な存在感を放つアイザック&ミリア。この四人の活躍を読みたいがために、このシリーズを今後も追っていこうと思えるくらい。(でもエルマーはこの巻には出てこない。)
ただ、登場人物が多いことで魅力を活かしきれてないキャラも多く存在しているので、そういう人たちは今後もう少し焦点が当てられるといいなあ、と思う。